2012年5月6日日曜日

北ア・6人遭難死:雪上に倒れた登山者 九州から2泊3日 救助隊長「行程に余裕を」 /長野 - 毎日新聞



北ア・6人遭難死:雪上に倒れた登山者 九州から2泊3日 救助隊長「行程に余裕を」 /長野
毎日新聞

北アルプスの小蓮華山から白馬岳(2932メートル)に通じる登山道で4日にあった、60〜70代の男性6人パーティーの山岳遭難事故。捜索関係者は5日にヘリや地上からの懸命の捜索を展開したが、6人の死亡が確認された。4日には、北ア爺ケ岳でも大阪市の女性が遭難し、登山の危険性が浮き彫りになった。白馬岳周辺では、06年春にも小蓮華山の稜線上で3人が死亡、同年秋には7人パーティーが遭難して4人が死亡、08年夏には大雪渓で2人が死亡するなど遭難が相次ぐ。関係者からは無理な日程や天候の把握の不備などを指摘する声が上がった。【渡辺諒、福富智、巽賢司】


 ◆ヘリで6人を発見

 県警は5日午前5時半ごろから県警ヘリでの捜索を開始し、地上からも大町署員ら6人が栂池高原から現地に向かった。午前9時45分ごろ、県警ヘリが遭難した6人を発見し、救助活動を開始。6人中5人は遭難現場でまとまって見つかり、1人は数十メートル離れた場所にいたという。6人は雪上で倒れ込んだり、うずくまったりしていた。発見後、ふもとの白馬村内の北部消防署に県警ヘリで2人ずつ搬送。同署で医師が6人の死亡を確認し、大町署に搬送した。5日夕には遭難した6人の関係者が大町署に到着。同署を通じて「今は話せる状況にはない。静かに仏様と過ごさせてほしい」とのコメントを出した。


 ◆服装の不備を指摘
 6人の遺体状況を確認したという白馬村山岳遭難防止対策協会の降籏義道・救助隊長は「夏に近い服装で、この時期の九州の1000メートル級の山に行くような格好だった。手袋も防寒機能が欠けたものだった」と服装の不備を指摘した。加えて日程に余裕が無かったことも遭難の要因という。降籏さんは「九州から来るのに、なぜ2泊3日の予定を組んだのか。天候不順の時に行動しない予備日を設けるなど、余裕のある日程を考えるべきだった」と話した。



 ◆天候未確認で入山も

 また、多くの中高年が入山する登山ブームの中、今回のように天候も確認せずに入山するケースが増えているという。降籏さんは「携帯電話で簡単に天気を確認できる時代だが、それでは不十分で危険だ。天気図を読んで把握する必要がある」と苦言を呈した。さらに「北海道の大雪山系トムラウシでの遭難や、06年秋の白馬岳の遭難なども、天候を十分に把握して無かったことが原因と聞いている。天気が分かっていれば状況は変わっていたはずだ」と語気を強めた。
 白馬岳への登頂をあきらめ、遭難した6人と4日午後にすれ違ったという東京都の男性(63)は「『雨がぽつぽつ降り始めたので、私たちは引き返して来た』と6人に話しかけたが、反応はなかった。6人のうち1人がバテている様子で、心配していた。しばらくして、天候は崩れて、あられや風が強くなった」と当時の様子を振り返った。男性は「同じ山登りをする者として悔しい。装備がしっかりしていれば防げたはずだ」と残念がった。




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