信濃毎日新聞[信毎web] 県内夏山遭難が過去最多91件92人 8割が中高年
今年の夏山シーズン(7−8月)中に、県内の山岳で起きた遭難事故は91件92人で、統計を取り始めた1954(昭和29)年以降で最多だったことが3日、県警地域課のまとめで分かった。遭難者の79%は40歳代以上の中高年。専門家は余裕を持った登山計画づくりを求めている。
件数は昨年同期に比べて38%増え、遭難者も23%増。死者は昨年と同じ12人だったが、けが人はほぼ2倍の59人だった。「転滑落・転倒」が全体の7割近くを占め、61件61人。昨年の30件30人の2倍を超えた。
山域別では、北アルプスでの遭難が65件66人(前年同期は47件51人)と全体の約7割以上。特に、入山者が昨年より58%増の7万1000人となった槍穂高連峰で34件35人(同15件17人)を数えた。
県警地域課によると、今年の県内全域の入山者数は36万3000人で昨年より6万9000人増。同課は、遭難が過去最多を記録した背景について「好天で入山者が増えた」と分析する。
一方、県山岳遭難防止対策協会講師の丸山晴弘さん(66)=長野市吉田=は「中高年が自身の体力低下を認識していないことが遭難急増の背景」と指摘。団塊世代の大量退職時代に入り、今後も中高年の入山者が著しく減ることはない−とした上で、「中高年は日程を1泊増やすなど余裕を持った登山計画を立てる必要がある」と話している。
長野日報 (Nagano Nippo Web) - ニュース - 夏山遭難過去最多91件 県警まとめ
県内の夏山山岳遭難発生件数(7月1日—8月31日)は前年同期比25件増の91件に上り、1954年の統計開始以来、過去最多となったことが3日、県警地域課のまとめで分かった。遭難者数も過去最多だった2003年と並ぶ92人。同課は「好天に恵まれ登山者が増えたことも一因。中高年や高齢者が転倒する事故が目立った」としている。
期間中の登山者数は前年同期比6万9000人増の36万3000人。北アルプスが4万9000人増の16万7000人、中央アルプスが3000人増の2万1500人、南アルプスが2500人増の1万6500人、八ケ岳連峰が5500人増の5万4000人だった
遭難者数は前年同期比17人増の92人。このうち負傷者は30人増の59人、死者は昨年と同数の12人で、山岳別では北アルプス山系での遭難が全体の7割を占める65件に上った。
このほか中央アルプスで2件、南アルプスで6件、八ケ岳連峰で9件の遭難が発生。八ケ岳連峰では7月2日に横岳西壁の大同心下部で福井県の女性(67)が滑落して死亡したほか、同月8日には大同心下部で滑落死したとみられる佐久市の男性(41)が発見されるなど3人が死亡している。
遭難を態様別でみると「転滑落・転倒」が全体の67%を占める61件で最多。次いで「病気」が15件、「落石」が5件、「疲労凍死傷」が4件、「道迷い」が2件と続く。
年代別では30歳代以下の遭難者が19人(20.7%)だったのに対し、40歳代以上は73人(79.3%)。男性の遭難者は62人で、このうち40歳代以上が52人(83.9%)を占めた。
同課は「秋には天候が急変し、真冬並みになることもある。山の天気や装備、ルートなどに注意が必要」と指摘。秋山シーズンに向け、登山者に山岳情報の収集や十分な装備、体調管理の徹底などを呼び掛けていく。