現場は石転ビ沢上部、黒滝を越えて踏み跡を辿り、右からの小沢を過ぎて小尾根を登る。やがて大きな三角岩のある所で左の小沢を渡り中ノ島(草付キ)に出る。この手前約5mで単独の登山者(58歳男性)が転倒、これを見ていた通りがかりの登山者が梅花皮小屋のOTJに通報した。OTJは事案の発生を下界に通報し、現場に急行した。現在PWDがODD宅でOTJと交信している。防災ヘリもがみが既にスタンバイしている。
遭難者の負傷はさほどではなく、OTJがサポートして梅花皮小屋を目指している。ヘリのフライトを巡って話が交錯している。そこでOTJに、救助要請をするのかしないのか、はっきりさせることを要求した。すると「遭難者は救助要請をしないと言っている」と回答がきた。遭難者は梅花皮小屋に向かって中ノ島(草付キ)を登っているとのことである。それならそれでも良い、直ちに関係先にその旨を伝えた。まもなく、防災ヘリは出動を取りやめた旨の連絡が入った。
やれやれ一件落着と胸をなでおろした時点で、信じられない無線が入った。「彼は眼が虚ろになり、視界に黒い点ができ、ぼやけて見えなくなってきたと訴えている」飛蚊症だろうか?「転倒時に右目の上部を打撲している」とすれば、網膜剥離や硝子体出血さらには眼底出血の恐れがないとは言えない。「救助要請をすると言っている」思わず何度か、本当に救助要請を行うのか確認した。