信濃毎日新聞[信毎web] 北ア・槍穂高連峰で遭難相次ぐ 中高年の滑落多発
信州山小屋ネット-県内、夏山遭難相次ぐ 中高年の滑落多発 信濃毎日新聞社
北アルプスでは7月1日から8月14日夕までに、昨年7、8月の2カ月の遭難件数を上回る48件が発生、5人が死亡した。中高年登山者が下山中にバランスを崩し滑落、重大事故につながる例が目立つという。救助関係者は「中高年は自身が考える以上に体力が落ちたり反応が鈍くなったりしている。登山経験があっても過信せず、慎重な山選びと行動を」と呼び掛けている。
14日夕現在、件数が昨年同期比3倍の24件、死亡者は同4倍の4人に達した。滑落が15件で最多。うち11件は40代以上の中高年登山者の下山中に発生し、1人が死亡している。
同署地域課は「疲労のため岩場でバランスを崩したり段差につまずいたりする事例が多い。険しい北アでは小さなミスが命取りになる。登頂だけでなく、下山まで含めた体力、技術が必要」と指摘。県警地域課は「晴天続きで登山道が乾燥しており、細かい砂利などでスリップしやすくなっている」とする。
信濃毎日新聞[信毎web]|社説=夏山最盛期 過信と無理を戒めつつ
県警によると、県内の山岳遭難者は7月から8月中旬までで60件を超えた。昨年の同時期と比べかなり多い。遭難者の内訳を見ると、40歳以上の中高年登山者が8割を占めている。死者も10人近くに上る。ほとんどが中高年である。
特に目立つのが北アルプス。11日には遭難が相次ぎ、2人が亡くなった。60代と50代の男性である。原因はいずれも滑落だ。
富山新聞ホームページ - 富山のニュース - 夏山遭難の6割が50、60代 富山県警が「無理ない計画」呼び掛け
北アルプス一帯で今夏、中高年者の遭難が相次ぎ、全遭難者五十八人のうち約六割を五十—六十代が占めていることが、二十日までの富山県警山岳警備隊の調べで分かった。遭難者の大半が県外からの登山者で、疲労がたまる登山二—三日目の事故が多く、体力や技術を過信した強行軍も目立つ。中には重大事故に直結する高山病などを発症するケースもあり、県警は公式ホームページなどで無理のない登山計画を作るよう呼び掛けている。
県警山岳警備隊によると、七月一日の夏山開きから今月二十日までに起きた山岳事故は前年同期比十件増の五十八件に上る。遭難者五十八人のうち三十三人(死亡三人、行方不明一人含む)が五十—六十代で、昨年の中高年の夏山遭難者数(二十七人)を超えた。また、全遭難者の九割近い五十人は県外からの登山者となっている。
山岳警備隊がこれらの事故形態を調べたところ、全国の登山者に人気が高い立山や剱岳で、疲労が蓄積する登山二—三日目に登山道で転倒、負傷する事故が多発している。立山では標高二、四五〇メートルの室堂までバスなどの交通機関で短時間で登ることができるため、急激な環境の変化に耐えられず、高山病を発症する事例も確認されている。
中高年の夏山遭難の多発について、山岳警備隊は、定年退職後に登山を始めたり、若いころに中断した登山を再開した人が、自分の体力や経験を過信し、無理な登山をすることなども背景にあるとみている。