富士山や南アルプスなど登山客に人気の山々が多い県内で、県警山岳遭難救助隊の出動人員数が昨年、過去最高を記録した。登山ブームで装備が不十分な登山客が増えたほか、ベテラン登山者が単独で山に登り、行方不明になるケースも。県警地域課は「山を楽しむ時は万全の準備を」と呼び掛けている。 (石原猛)
二十五日に県庁であった「県山岳遭難防止対策協議会」で、県警地域課が報告した。
救助隊の二〇一一年の出動回数は四十五回。一〇年より四回少なかったが、行方不明者を長期間捜索したケースもあり、延べ出動人員は二百六十二人と、統計が残る一九七三年以降で最多だった。
一方、一一年の山岳遭難事故は七十九件。前年より一件増え、過去十年で二番目に多かった。うち六人が死亡し、五人が行方不明に。行方不明者は〇九年と並び、過去十年で最も多かった。
死亡、行方不明の十一人は全員が単独登山者。行方不明者は、いずれも登山計画が提出されていなかった。担当者は「どの登山道を通ったのか分からないと、発見は難しくなる」と説明する。
遭難事故の半数近くは、七~八月の富士山に集中する。軽装の観光客、体調不良でも無理をする登山者が後を絶たない。担当者は「Tシャツやハイヒールで富士山に登った遭難者もいた。登山口に向かうシャトルバスで啓発ビデオを流すなど、富士登山の心構えを伝えたい」と強調する。